ボとポカ

ボーッとしている人を見た。
猫背でボーッとしていた。足は投げ出していた。
国道に面した喫茶店のテラス席だった。
30代前半くらいの男性だった。テーブルの上には何も置いてなかった。


死ぬだろうか。
いや、死にはしないか。
歩道橋の上ならまだしも。ちゃんと座ってるし。
しかし男からは「死」とか「落第」とか「おしっこしたら赤かった」くらいの
ぼんやりとした不安が漂っていて
笑えた。


思ったのだが「ボーッ」としている人というのはそれはどう見ても「ボーッ」としていて
「ポカーンッ」としている人ではない。
思うに「ボーッ」とは口を半開きにし、一点を見つめ続けることで達成されうるのではないか。
ここで「ボ」とは口の半開きであり、「ーッ」とは一点の凝視である。
前述の「ポカーンッ」とは、
口が「あ」もしくは「お」の発音程度の開き具合でありこちらの方が半開き感はつよく、
「ポカ」部分がそれでありそして「ーンッ」は変わらず一点の凝視である。
「ボ」は「ポカ」よりは口を閉じ気味、「閉まらない」という状態と記述するほうが正しい。
「閉まらない」というのは物悲しくて間抜けで、それに猫背なんか加えた日には
とてもおいしそうな体勢となるので見つけた日にはすぐキャッチだ。


新古書店中崎タツヤを見かけるたびに買ってしまう。
ひさしぶりに行った今日は大量入荷でうひょうひょ言ってしまった。
105円コーナーにラブレターフロム彼方を見つけてしまって
安いので買いそうになってちょっと悩んだが
さすがにまずいだろうということで買わなかった。


安いので買う、という買い物がけっこう好きで
これちょっとどうしようもないよな、でも安いしな、
という状況が好きなのだが
先日行った楽器フェスティバルにおいてのアウトレットセールでは
スズキのメロディオンが1000円!?タンバリンが800円!?と
俺は鼓笛隊になろうとしているのだろうかという状況がとてもよかったのだが
もう少し大人の観点から買わなかった。
だがもう少し大人の観点からいくと
カスタネット4ヶで100円は「買い」だそうで、
同行の宮城さんが買っていたのはとても勉強になった。
何に使うんだ、4ヶも。


あ、両手両足か。


どうしようもないものが「手に入れたい」に変わる瞬間の値段に興味がある。
予想するに0円よりは10円の方が「手に入れたい」に変わりそうな気がする。
「タダでも要らない」「タダより怖いものはない」などなど
「タダ」というのはけっこう高い。
となるとこの「タダ」が実際はいくらなのかということにも興味がわいてくるが
色々考えるとめんどくさくなったのでいいや。
タダっていうのは100円ってこと!
はい決まり。これでいい。
今後タダと言われたら100円をイメージして生きていく。
タダで何かやってもらったら100円玉を渡す。
あ、便利そう。
真面目に考えようかな「タダの値段」。