三者面談

報道陣はなんでエレベーターに乗り込まないのか。
乗ってしまえば変な空気になるからだろうか。
うわ。
乗りやがった。となるからだろうか。
この後の空気を想像すると気まずさでいたたまれない。
あの空気感のせいなのか。


中学校で三者面談を受けたことを思い出していた。
当時担任だったF先生は新任の先生で、
初めての受け持ちクラスだったから
三者面談を経験するのも初めてだったのではないだろうか。
あいうえお順でいったのでおれはけっこう早かった。
入るなり先生は「いや、似てますね!お母さん!」と驚いていた。


察するに中一男子なんてどれも母親に似ているようなもんで、
とするとあのF先生はあの日一日楽しかったのではないだろうか。


うわ!似てる!
次も似てる!
また!似てる!


と、あの日一日、似てるなあ、似てるよなあ、を噛みしめていたのではないだろうか。
そんなことを思った。


ニュースで子供投げ落とし事件が。
すんごい地元。
わが町が映し出されていた。
思えば何一つ明るいことのない町だったように思う。
保険金目当てで人が死んだり、闇金で人が死んだり、ひったくりで日本一になったり、
遠く離れて聞く話も相変わらず暗い。
加害者は障害者のグループで、駅前で自分たちが焼いたクッキーを売っていた。
あれ食ったことあるわ、まあまあうまいんだ。
そして犯行現場となったあの駅前でおれも障害者に殴られたことがある。
小学生のとき、目が合った障害者に手刀で思いっきり殴られた。
怖かったがその場にいたおっさんが追っ払ってくれた。
ああゆう人なんや、ごめんなー、と、おっさんは言ってた。
こちらも特に恨んでいたりとかはない。
加害者が所属していた団体の責任者がインタビューに答えていた。
誠実そうな人で、悲しそうにしていた。
追っ払ってくれたおっさんを思い出した。


磁場が悪いんやろかなあ、と思う。
電磁波かなんかが出まくっとんのやろうか、とも思う。
わが町で起こる事件はわりと根拠のないもののせいにしておきたい。