記事は土曜です

長年の付き合いの友人と再会する。


「さんずい」の漢字を2分間で10個書け、という内容のテレビ番組を見たらしくて
どうしてもそれがやりたくてうらやましくて仕方が無いと言っていた。


その場でやらせてくれと頼まれたので紙とペンを貸してやった。
ものの15秒程度ですらすらと10個を書き上げていた。


今度は50個まで書かせてくれ、お願いだ、と頼まれた。
茶店にて午後6時を回ったころだろうか。
断る理由を探してみたが見当たらないので書かせてあげた。


済、溜、清、池、汁、河、浜、濱、淀、濁…
今PCで10個打ってみた。意外と大変だった。


40個ほど書き終えたところで少しペースが落ちてきたようだった。
よくすらすらと書けるものだ、と感心した。
あれやこれや口を出していたらようやく50個に到達した。


100個まで書けるのだ、という。
書かせてくれ、という。
今ここでか?と聞くと、お願いだ、書かせてくれ、という。


天井を見つめ、記憶の引き出しを引っ掻き回している彼女を見てたら
アースダイバーの神話を思い出した。
カイツブリが池だか沼だかの水の底から泥を持ってきて土地を作るのだ。
中沢新一の著作を読んでいるとよく出てくるあれだ。


水の底から部首を取り出して、テーブルの上の紙に一つ書き付ける。
そしてまた水の底へと潜っていく。


おれは暇でしようがない。