帰ると毎回書いてるような気がするけど、父の水滸伝

大阪に帰ってもまだ父は修行をしていた。


父は仕事から帰ると自分のたばこ部屋に閉じこもり、
水滸伝2というテレビゲームで遊ぶ。
その寡黙なプレースタイルと恐るべき密閉性と継続性から
わが家ではこれを修行と呼んでいる。


この水滸伝というゲームはスーパーファミコン程度の仕様の古いもので、
うちの父はこれを10年近くやり続けて
今でもプレステ2にプレステで出た水滸伝2をぶち込んでプレイしている。


恐ろしいのはほぼ毎日やるということと、
3日に1日程度の期間でクリアしてしまっているということだろうか。
10年近く3日に1度となると、1000回クリアもしているのかもしれない。
当然クリアの瞬間には何度も立ち会ったことがある。
声を立てることもせずに、エンディング画面が始まった瞬間にリセットボタンを押し、
また最初からプレーし始めるのだ。
初めてその瞬間に立ち会ったときは、ぐぶぅっと声を詰まらせて驚いたが
今となっては、なるほど、と軽く納得する程度のものだ。


当然10年程度前のゲームであるから続編も出ている。
システムとして似たようなゲームならいくらでも最新版のものがある。
いくつか父にそれを紹介したのだが、
難しいねんもん、と頑なに今の修行を続けていた。
同じものを飽きもせず10年やり続けるほうが難しいんじゃないか。
そんな風に言っても、えへへ、と薄ら笑いでごまかされる。


余談だが、巨人にいた桑田投手は同郷の人だ。
ああいう暗い感じの笑いをうちの父もするので、
わが町の男というと大体ああいう感じを思い浮かべる。


水滸伝2は中国全土を統一すればゲームクリアである。
兄が『鼻の慶二』という男とは何ぞ!?漫画を買ってきたのでさっき読んでたのだが、
あ、『花の慶二』だったわ、
いくら慶二が男を語ろうと、マラの大きさを比べて男っぷりを比べようと、
中国を1000回統一している男には敵わないのではないかと思った。


しかも1000回統一していながらそれは「修行」なのである。
果たしてその「修行」の先には何があるのか。


煙草の量からガンであるような気もしてくるので、
ニコチンパッチによる禁煙法を薦めてみたりもしている。