大阪から友人が来て東高円寺のバーで始発を待っていて。
バー?
クラブかなあ?
あ、クラブバーか。
クラブバー、クラブバー。
クラブバーで始発を待っていて。


クラブバーってなんなんだろう。


音楽にあわせてボンゴをたたいてるプロっぽい客がいて
まあうまくて楽器できる人はいいやねえと思って聴いてて
時間も遅くなってその人も酔っ払ってきたのか
おれの演奏どうでした?となぜかおれに聞きに来て
あー、おれに聞くのかー、とびっくりはしたけれども
いやあ生の楽器というのはやっぱりいいものですねえ、と
そう思ったことを答えてたら
その人はほんとうに嬉しそうで
また再びボンゴを持ち出してきて
おれの方を見ながらまた叩きはじめて
どう?どう?
みたいな顔をこっちに向けてくるもんだから
うんうん、いいよいいよ、と
おれは分かってるぞ的なうなずきをしかたなくしていて
はー、弱ったなー、と
友人の姿を探すと隅の方で寝ていて
はー。
こういうやつ(がいいん)でしょ?
とボンゴのおっちゃんといっても40くらいの人だけども
うーん、やっぱりいいですよねー、とか
だんだん適当になってはきてるけど味わい深げに言ってる最中に
友人の姿を探すんだけども
あかん、くびが完全にいってもうとる、と
おおつか君(またおおつか君!)がソファーで寝ていて
はー。
始発まで3時間かと思うやいなや
ボンゴの人はおれにボンゴを渡して
君もたたいてみるといいよ、的なことを言い、
ああ何かたたかなしゃあないかなあというムード、
その日はよく名前の聞くレコ屋の人が音楽をかけていて
わあこんな音楽もあんねんや、こんなんもあんのか、と
いちいち珍しいグッドミュージックをかけていて
お客さんもそういうんがすきそうな人が多く、
おれのヒザの間に挟まっているこのボンゴはどんな音色を奏でるべきか
どうあられますべきかを考えた結果、
指でなでるくらいの
ものっすごい小さな音量でさわるという演奏法にたどりついて
あー、目の前のこのおっちゃんはどっかに行かへんのかなあ、と
思っていたら
こうやって叩くんだよ、と
おれの右手を手に取り、
カスタネットのように、保育園のウン、タン、ウン、タン、のリズムで、
ポン!
ペン。
ポン!
ペン。
音が大っきい!とあたふたしながら恥ずかしくて顔は上げられず、
音楽がまた嫌いになった夜でした。



そういえばゆら帝の坂本に似てるんとちゃう?とたまに言われることがあって
本人が客として来ててまあちょっと違うんやなあと生で確認した。
youtubeで聴いてみたらいい曲で音楽好きになりました。