「…したりしてんだべ?」
女性がポソッと言ったのでおやっと思うと
「…こういう感じですか?」
と隣の男性に聞く。
男性もおやっとした顔をしていると
「秋田弁って」
ああその話かと目を落としてつり革から手を離してまた持ってううんという顔をして
「ちがうんだよな」
と言う。
ガタンゴトン。
「城田さんもそうなんだけど、普通はこんな風に東京弁
 東京弁っていうか標準語で普通に喋ってるじゃない。
 普通に、こんな感じで」
「それでさ、うちの母親とかも電話で話したりしてるとさ」
「ああ電話ってそうですよね」
「うん電話で話したりしてるとさうちの母親は津軽なんだけど
 その青森地方の」
「青森弁の」
「電話がかかってきたりするとガラッと変わるんだよね。
 もう、なんていうのかな」
「どんなですか?」
「なんだろう、うまくできないけど津軽の言葉になるんだよ」
「そうですよね」


晴れた日に電車に乗っていて目の前の人たちの会話が妙に耳に入ってくることがあるけれど
この会話が標準語で為されているのがドラマのように思えて
なんだなんだドラマかドラマかドラマが始まったのか
ああそうかおれは東京にいるんだなこれが当たり前なんだな
と思うことがあるんだけどもすぐに田舎者であることを恥ずかしく思ったりする。


この日は田舎に帰りたくなった。


あと思いこみナイトで寸劇やって腰が抜けるほどおもしろかった。
そんで予想以上に受けなかったのがまた可笑しかった。
またかよ!
って。