マスターとケンちゃんがやってる定食屋で晩ご飯。


とはいってもマスターともケンちゃんとも顔見知りなんかではなくて
「マスター」
「ケンちゃん」
と呼び合ってるのを盗み聞きして以来マスターとケンちゃんのお店なのだ。


マスターとケンちゃん。
この距離感がいい。
たとえばこれが益子さんだったらどうだろう?


マスターとケンちゃんと益子さん。
「マスター」
「ケンちゃん」
「益子さん」
あ、どうしよう。これもいいかも。


しかしこのよさはマスターとケンちゃんがいるからだ。
別に益子さん(益子直美さんをイメージしてた)でなくてもいい。
片腕ドラゴンでもいいのではないだろうか。


マスターとケンちゃんと片腕ドラゴン。
「マスター」
「ケンちゃん」
「片腕ドラゴン」
しまった。マスターがカンフーマスターに見えてしようがない。
やりすぎた。


とはいえ、ケンちゃんだけは異彩を放っている。
かつて日本にはケーキ屋ケンちゃんシリーズなるドラマがあったと聞く。
クリーニング屋ケンちゃん、など職業が変わるものの
ケンちゃんだけは固定なのだ。
けなげに働くケンちゃん。
やはりケンちゃんという名には何か人のささくれだった何かを和らげる何かがある。
(何かを3つ入れてみたらすごい違和感だ)


トミーズ健にしてもそうだ。
ケンちゃんで〜す!と今ではギャグにしている。
その実態はただの名前なんである。


相方の雅もたまにマサちゃんですと言ってみたりしてる。
しかし本人も違和感を認めているのかいつも大照れである。
聞いてるわれらも
何がマサちゃんだ、バカヤロウ。と、小さくつぶやいたりする。


ケンちゃんは偉大だ。
讃岐にはまんばのけんちゃんという郷土料理があるそうだ。
「けんちん」というしっぽく料理がけんちゃんとなまってそうなったらしいが
これもケンちゃんが「ぐっと引き寄せた」と言うのが正しいだろう。


おれはいつもケンちゃんに引き寄せられあの店でカレーを食っている。