一人であじさいを見に行った。
勘弁してと泣きが入るほどおもしろくなかった。


泣きを入れたのであじさい近くの古本屋に。
おもしろい本などを購入するとスピードくじがついてきた。
くじを開くと何も書いてない。


「ああ、これだとこちらになりますね、ちょっとお待ちください」
くじには何も書いてないのだ。
「100円商品券とこれのどちらがいいですか?」
だからくじには何も書いてないだろう。


店員さんの左手にはこの店で使える100円商品券が。
そして右手には極彩色した犬の手帳セットが。
おかしい。
くじには何も書いてなかったはずだ。


遠出してたまたま立ち寄った店なのでもう来ることはない。
なので商品券はいらない。
だが犬も手帳も極彩色もいらないのでいらない三重苦セットも当然いらない。


い、いらねー。といらない物を両手に持った店員さんを前にして悩む。


何も書いてないくじを引くとこんないらない地獄に突き落とされるのか。
ひょっとしてこれは笑うせえるすまん的な世界に来てしまったのだろうか。


どっちが要らないのか悩んだ末に手帳をもらう。
お友達にポンと上げたら笑ってくれるだろうか、という思いがふとよぎったのだ。


いらないけど。


じゃあそっちで、と犬の手帳を指すと
店員さんは、あ、こっちですか!?と、ぷぷっと吹き出した。
一体これはどんな罰ゲームなんでしょうか。


手帳はマクドナルドのゴミ箱に捨てました。


ごめん、エコロジー
でも残しておいたほうが生態系がだめになるような気がして。