メガネの軸の部分がこわれたので近所のメガネ屋に行く。
ちょっとお待ちください。
と言われて奥に行ったメガネ屋のおじさん。
10分ほどで直してくれて一安心。
おいくらですか?と聞くと、
けっこうです。お持ちください。と。
「せめてお名前でもお聞かせください」と言いそうになった。


携帯電話の電源が頻繁に落ちるので(頻落)買い替えに行く。
いつから替えてないんだろうとちょっと考えると6年前だった。
駅前で呼び込みをしていた携帯屋についていく。
movaなんです、と言うとそこの兄ちゃん半笑い。
これがいいなと思う機種をいくら?と尋ねると6万。
これだ。
こんなものに何万も払えるか、と思いながら6年過ごしてきたのだった。
じゃあいいですと言いかけたところで
「ところが」
と携帯屋の兄ちゃんから。


ああひさしぶりの「ところが」だなあと思う。
23才くらいだったか何かの発表をして
君の企画は非常に稚拙だ、そんなことをえらい人に言われた。
しかしその直後に「でもね」だった。
それに続くのは当然これこれこういう光るところがあるという逆説の「でもね」。
ああ、あのうれしい「ところが」を久しぶりにいただいたのだ。


そして今回の「ところが」の続きは
「ところがそれが0円になるんですよ」と落差がひどすぎて笑った。
ロッチのコントでお弁当屋さんの店長が
ご自慢の弁当を万引きされて「おいしそうやったから」という万引きの理由を受けて
「おまえバカか!」
と言ったときと同じ笑顔で笑った。


まあ0円になるならやっと買えるな、とその先を聞くと
どうやら裏ワザがあるのだという。
新規で買ったら0円だから新規で買って今のやつは適当なものに機種変更しろ、と
二台持ちの状態で一台を眠らせておけ、とそういうことだった。


いい大人が「裏ワザ」と言ってナニワ金融道みたいなことしていいのか、と。
思いながらもいいかげん携帯替えたいなという思いに負けて裏ワザでゲット。
不正で6万浮かしたことが何か悲しい。


買ってきた携帯はもう飽きた。
やっぱりこんなものに何万も払うのはばかげているから裏ワザでよかったのか。


いや、せっかく買ったのにこんなこと言っては申し訳ない。
精一杯いじらせていただきます。